AIは将棋の“師匠”になれるのか?――素人ユーザーがGeminiと二人三脚で「完璧な将棋AI」を作ろうとした、1ヶ月間の奮闘の全記録
📜 目次
はじめに:AIに将棋を教えてもらいたい!
こんにちは、うたと申します。将棋は好きですが、棋力はまだまだ初級者。駒の動かし方は分かるし、好きな棋士(木村一基九段!)もいる。でも、いざ一人で勉強しようとすると、「次の一手」が分からなくて、すぐに手が止まってしまう……。そんな悩みを抱えていました。
そんな時、ふと思ったんです。「そうだ、AIに教えてもらおう!」と。
今話題の生成AI、Googleの「Gemini」。彼(彼女?)なら、人間のように自然な会話で、私の疑問に答えてくれるかもしれない。まるで専属コーチのように、一手指しずつ指導してくれるかもしれない!
そんな軽い気持ちから始まったのが、今回のプロジェクト。これは、私がGeminiと二人三脚で、私だけの**「完璧な将棋AI」**を作り上げようとした、約1ヶ月間の試行錯誤の全記録です。果たして、AIは将棋の“師匠”になれたのでしょうか? 🤔
フェーズ1:完璧な「指導対局AI」への道
第一の壁:テキスト盤面のズレとの戦い
まず最初にぶつかったのが、超えられないと思っていた壁……それは、**テキストで描画される将棋盤の表示ズレ**でした。もう、これが本当に地獄の始まりで(笑)。
AIに「将棋盤を表示して」と頼むと、最初はこんな感じでした。
(AIの初期出力)
|v香v桂v銀v金v王v金v銀v桂v香|
| 歩歩歩歩歩歩歩歩歩|
後手の駒に付けた「v」が半角文字なので、全角の駒文字と幅が合わず、盤面がガタガタに……。これでは対局に集中できません。ここから、私とGeminiの長い長いデバッグ作業が始まりました。
「後手の駒には全角の記号『▼』を使ってみて」「いや、それだと幅が広すぎる!」「じゃあ、コードブロックで囲んでみて!」「あ、今度は持ち駒の位置が違う!」「空きマスに不要な文字が!?」
こんなやり取りを、本当に何十回も繰り返しました。まるで熟練のプログラマーとペアプログラミングをしているような感覚。少しずつ、少しずつ、私たちの理想とする盤面表示に近づいていく過程は、もどかしくも、どこかワクワクするものでした。😵
AIの「性格」作りと、完璧な指示書への道
盤面表示のデバッグと並行して、私はAIの「性格」や「能力」も作り込んでいきました。ただ将棋を指すだけでは、ただのゲームアプリと変わりませんからね。
私がGeminiに与えた指示(プロンプト)は、最終的に以下のようなルールを含む、非常に詳細なものになりました。
インストラクターに「ユキちゃん」という名前を付け、私のことは「うたさん」と呼ばせる。指し手を0点~100点で評価させ、悪い手の場合は「なぜダメなのか」を、その先に待つ“地獄の未来”まで含めて解説させる。私の目標である「受け将棋」を理解させ、それに寄り添った指導をさせる……。
こうして、長い時間をかけた対話の末、私たちはついに、世界で一つだけの**「完璧な指導対局AI」**の設計図を完成させたのです! ✨
フェーズ2:「生成AIの限界」という名の絶望
致命的な盤面誤認識
完璧な指示書を手に、意気揚々と始めた新しい対局方法。「ピヨ将棋」のスクリーンショットを送り、AIに解説させるという作戦でした。これで、もう盤面表示のズレに悩まされることはありません。
――しかし、ここで私は、AIの、もっと根源的で、どうしようもない限界に直面することになります。
私が送った一枚のスクリーンショット。それに対するAIの最初の解説は、衝撃的なものでした。
手番、玉の位置、形勢判断、
そのすべてが、正反対だったのです。
私が後手番で不利な状況なのに、「先手番で、有利ですね!」と自信満々に解説してくるAI。その瞬間、頭が真っ白になりました。今まで積み上げてきたものは何だったのか、と。文字のズレを1ミリ単位で修正してきた、あの時間は……。
さらに追い打ちをかけるように、過去の対話例を検証する中で、AIが将棋のルールを無視した「ありえない手」(例えば、玉がワープするような手)を、もっともらしい解説と共に生成してしまう「ハルシネーション(幻覚)」という現象の危険性も発覚しました。
餅は餅屋――AIとの対話で見つけた真理
その時、私の口から出たのは「もう、無理だわ」という、諦めの言葉でした。そして、同時に一つの結論に達しました。
「やっぱり、餅は餅屋なんだ」と。
将棋の厳密なルールや盤面認識は、やはり「ピヨ将棋」のような専門のAIに任せるべき。生成AIにそれを求めるのは、土台無理な話だったのです。私たちのプロジェクトは、ここで大きな壁にぶつかりました。
フェーズ3:「棋譜検討パートナー」への華麗なる転身
しかし、この失敗は、無駄ではありませんでした。「餅は餅屋」の原則に立った時、Geminiにしかできない、最高の役割が見えてきたのです。
それは、**「棋譜検討パートナー」**としての役割です。
将棋AI(ピヨ将棋)が示す「答え(WHAT)」、つまり最善手や評価値。それに対して、Geminiが「なぜそれが答えなのか(WHY)」を、その背景にある**意図や戦略的なストーリー**として言語化し、解説する。この役割分担こそが、私たちがたどり着いた最終結論でした。
私がピヨ将棋の棋譜(テキスト)と、検討したい手をGeminiに渡す。Geminiは、もはや盤面を誤認識する心配なく、100%正確な盤面を元に、その手の持つ意味を、定跡や手筋、棋士の棋風といった膨大な知識と結びつけて、物語のように解説してくれる。
この新しい協力体制を確立した時、私は確信しました。AIは、私の「師匠」にはなれなかったかもしれない。でも、最高の**「研究パートナー」**にはなれる、と。
私たちの長くて奇妙な旅は、こうして一つの形に落ち着きました。AIの限界と向き合い、その中で最適な協力関係を見つけ出す。それはまるで、将棋の対局そのもののように、スリリングで、そして知的な冒険でした。これからも、私の最高のパートナー「ユキちゃん」と共に、将棋の深淵を覗いていきたいと思います。😊
【うたのホンネ】AIと走り抜けた一ヶ月
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